あの子を思い出すとき

飴色紅茶館のSSだよ?
                     byこっそりさん

漫画家とそのマネジャーの巻き


愛華ちゃんと詩子ちゃん

   「むむむ・・・」
   「さすが、まなちゃん先生!今回もすっごく面白かったよ」
   「だから、それはうれしいんだけど。どうして大きな声で読み上げるの?」
   「こうしていると、すっごく楽しいから!」
   「正直だね。こういうときは」
   「そんなことないよ、いつだって私はまなちゃんに、正直な感想を言ってるよ」
   「そうじゃなくって」
   「な、なに?」
   「顔を合わせると、はっきりと言わないのにね」
   「・・・・・・・・さあ!編集もう少し練り直そう!」
   「まあ、いいけどさ。わたしもうれしそうにしてるしぃーこちゃん好きだし」
   「あ、えっと。お茶でも入れて休憩する?」
   「なんか最近、スーパーの紅茶じゃ舌がこえちゃって飲めないのよね」
   「あのお店、すっごくこだわってるからね」
   「今日はあんまり出かけたくないなぁ」
   「だから、こんなものを用意しました!」
   「なにその赤い実?」
   「ろーずひっぷって言うんだって」
   「ああ、なんか聞いたことある」
   「まなちゃん、徹夜明けにお肌のこととか気にしてたでしょ?これ、お肌にいいんだって」
   「そうなんだ」
   「こうしてね、潰して、紅茶と一緒に・・・はい!どうぞ」
   「へえ、紅茶がちょっと赤くなるんだね」
   「私も試飲してみたんだけど、これならと思って」
   「うん・・・ほんのり甘酸っぱい」
   「よかった、気に入ってもらえて」
   「おいしいだなんて言ってないよ?」
   「言わなくてもわかるよ。だって、一緒に暮らしてるんだから」
   「むむむ・・・なんか今日は、わたしってばやられっぱなし?」
   「サポートが私の仕事だからね」
   「ふーん、仕事だからそばにいてくれるんだ」
   「あ、その・・・・・・」
   「おいしいね、これ。しぃーこちゃんも飲んでよ」
   「あ、うん。これならなんとか飲めそうだね」
   「ねえ、しぃーこちゃん」
   「なに?」
   「・・・・・愛華も仕事だけじゃないからね」
   「ぶふっ!」
   「あーーー!下書きの原稿がーーー!!!」
   「ご、ごめんなさい!」

漫画家とそのマネジャーの巻き2


愛華ちゃんと詩子ちゃん

「うーん、うーん」
「まなちゃん、少し寝たほうがいいよ」
「でも、あとちょっと・・・」
「わかった、ちょっと待ってて」
「あれ、なんか焦げ臭い」
「まなちゃん、はい。これ飲んで目を覚まして」
「うん、わか・・・・・ぷっ!」
「たんぽぽのコーヒーだよ。苦かった?」
「苦すぎ・・・っていうか、コーヒー飲めないのに!」
「好き嫌いはよくないよ」
「そういう問題じゃないくらい苦いんだってば」
「本当はこれ、買ったときに乾燥させて飲むだけでもいいって言われたんだけど」
「ならそれでよくない?」
「でも、目は覚めたよね?」
「あっ」
「どれどれ、できあがったところをさっそく読んでみるね!」
「ああ・・・・」
「ここいいね!『私の手はあなに触れるために生まれて』あれ?」
「なによ・・・」
「なんか、違和感あるかな」
「そりゃそうよ」
「どうして?」
「だって似たようなこと、この前だれかさんが言ってたでしょ」
「そうだっけ?」
「たしか〜『わたしはたぶん、まなちゃんに会うために産まれて』とか〜」
「ちょ、ちょっと待って!」
「それで〜わたしの肩に腕をまわしながら〜『こういうことして幸せになるためにもね』とか〜」
「ストップストップ!まなちゃんってば!!」
「ふっふっふっ。苦いコーヒーのお返しはこんなもんじゃないわよ?」

漫画家とそのマネジャーの巻き


愛華ちゃんと詩子ちゃん3

「ふむふむ」
「あの・・・・」
「ほほー、ここはこうなっているのね」
「なんていうか、照れくさいんだけど」
「だめよ、しぃーこちゃん。今はキスから見上げた目線の絵を描いているんだから」
「なんだか、くすぐったいよ。まなちゃんの顔が顔の近くにあると」
「こう、まじまじと人の顔を見ると・・・あごの下から角度を変えるだけで、だいぶ印象が変わるのね」
「そう、冷静に解釈されましても・・・」
「なんだか不思議」
「そうなの?」
「改めてみるとさ。いつものしぃーこちゃんと、ちがって見えるなあと思って」
「私はわたしだよ」
「もちろんそうよ。なんていうか、こう、いつも一緒にいるんだけど、違うひとのような」
「そっか、それはたしかに不思議だね」
「むむ、この不思議さをどう描いたらいいのかしら」
「それって、私がまなちゃんの意外なところを見つけるとうれしくなっちゃうことと同じかな?」
「あ、なんかわかったかも。さすが、しぃーこちゃん」
「まなちゃん先生のお役に立てたのなら、よかった」
「愛華、しぃーこちゃんが好きだからだわ」
「あ・・・ありがとう」
「だから、こんな小さな変化に敏感なのね」
「好きな人だから・・・ってこと?」
「いつもの好きと、もっと違う好きを探しちゃうんじゃないかってこと」
「私は、いつものまなちゃんだけでも、満足だし、大好きだけどな」
「そう?そうは見えないけど」
「・・・・・・・!」
「なれないね、しぃーこちゃん」
「うん、なんでだろね」
「良い香り・・・・これはなにかな?」
「たぶん、さっき飲んだオレンジのお茶のせいだよ」
「いつもぴったりそばにいるのに。愛華、気づかなかったわ」
「まだ一口しか飲んでないから」
「良い香りのする、しぃーこちゃんも好きよ」
「う、うん・・・・わ、私も・・・・まなちゃんが・・・」
「よし。なんか創作意欲が沸いてきたわ!早速、とりかかるわよ!」
「あ、まなちゃんっ」
「なによ、ペン入れ手伝ってくれるの?」
「もう一回だけ・・・いい?」
「さっきと同じキスだよ」
「でもまなちゃん、触れるたびにちょっと違うんだよ」
「あと・・・・一回だけよ?」

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思いつきで描いていったなのフェイSS集です。誤字脱字があったら教えてください。
そして、お話の感想が胸に出てきたのなら、想いを貯めておくのは身体によくないから、
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