あの子を思い出すとき

飴色紅茶館のSSだよ?
                     byこっそりさん

紅茶屋店長とその従業員の巻き


芹穂さんとさらさちゃん

   「芹穂さん、早めに来ちゃいました」
   「ん〜んん〜♪」
   「あの・・・」
   「ふんふん〜♪」
   「あ、イヤホン」
   「ふふ。さらさちゃん気に入ってくれるかな」
   「バラの花びら?」
   「うん、いい香り。あともうちょっと蒸らしてっと」
   「なんか、ちょっと可愛い・・・」
   「早くこいこい、さらさちゃ〜・・・・わ!」
   「あの、おじゃましてます」
   「もう、いるならいるって」
   「いや、なんかこのまま見てたい・・・というか。いい香りですね」
   「いつからいたの?」
   「内緒です」
   「いじわる。もう、そんなこと言うならこの紅茶あげない」
   「え、そんな」
   「なんてね」
   「な、なんだ・・・。そうだ、珍しいですね。何を聞いていたんです?」
   「内緒、だよ」
   「いじわるですね」
   「教えてもいいけれど、さらさちゃんの内緒も教えてくれたらね」

   「昨日のお客さん、うまくいくといいね」
   「ああ、バラの花をあげた恋人同士の方ですね」
   「どうなったのか、すごく気になっちゃう。お客さまなのに、おかしいかな?」
   「いいえ、わたしも気になります」
   「でも、すごく素敵だよね。わたしもああいうの、憧れちゃうな」
   「ぶっ!!」
   「さらさちゃん、大丈夫?」
   「はい・・・・オボエテオコ」
   「ん?」
   「バラ、お好きなんですか?」
   「んー、前はあんまり好きじゃなかったかな。ほら、どうしても棘があるでしょう?」
   「たしかに。あ!ごめんなさい、私なにも知らずにお店に飾る花を・・・」
   「よく買ってくるよね。ちいちゃいローズが好きなんだね」
   「すみません、つい。自分の好きなものを買ってしまって。あ、もしかして私のためにこれを?」
   「わたしにはこんなことくらいしか、お返しできないから」
   「そんな!私、ここが好きなだけです!」
   「ありがとう、さらさちゃん」
   「今度は芹穂さんの好きなお花を買ってきます。何がいいですか」
   「いまはこれくらいのバラかな」
   「え、それじゃあ前とおんなじですよ?」
   「好きなひとのすきなものだし、今は気に入ってるの」

紅茶屋店長とその従業員の巻き


芹穂さんとさらさちゃん2

「今日もおつかれさま、さらさちゃん」
「お疲れ様でした、芹穂さん」
「ダージリンのセカンドフラッシュ、ちょっとお高めだけど、いいかな?」
「たまの贅沢、ですね」
「うん、いい香り・・・」
「もうすぐ、クリスマスですね」
「そうねえ。さらさちゃん、どうしようか」
「クリスマスはせっかくだから・・・・モゴモゴ」
「なあに?」
「いいえ!なんでもありません・・・・・あ、これすごくおいしいですねっ」
「二人きりですごしたいね」
「ぶっ!!」
「なんてね。さらさちゃんはマジメだから、きっと何かイベントを考えてくれてるのかな」
「え、あの」
「いつもそんなところに助けられてるよ、ありがとう」
(そんなことないですって言いたい。言いたいけど、言えない・・・・)
「クリスマスといえば、やっぱり」
「恋人たちが出会う日でしょうか」
「あ、そっか」
「芹穂さん?」
「プレゼントだと思っちゃった」
「なるほど。芹穂さんらしくて可愛いです」
「もう、ほんとは子供っぽいって思ってない?」
「ふふっ。ちょっとだけ」

「『恋人たちの幸せ』をイメージ、ですか?」
「そうなの。そんなお茶があったら、ステキかなって」
「簡単そうに思えて、これは難問ですね」
「情熱的な赤いハイビスカスなんてどう?」
「いいとは思いますが。日本の恋人には少し色が合っていない様な・・・・」
「ほんのりピンクの薔薇を香らせてみるのは?」
「ピンクですか。もうひとつインパクトを・・・」
「健康的なミントの緑っていうのもありかな」
「でも、それじゃあ恋人達にっていうのは、ちょっと違いますよね」
「そっか。ごめんね・・・・」
「あ、いえ!こちらこそ、勝手なことばかり言ってしまって」
「ううん。さらさちゃんのお墨付きはどんな雑誌よりも心強いもの。正直に言っていいんだよ」
「そう言ってもらえると、嬉しいです」
「幸せのいろを決めちゃうから、いけないのかな」
「どういうことです?」
「幸せのかたちって、それぞれでしょう?こう、お客様によって色が変化するお茶とか」
「面白そうですね!ちょっと待ってください。たしか、この前本を読んでいたときに・・・あった!」
「マロウ・・・・。聞いたことがない名前ね」
「真っ青なお茶らしいんですが」
「真っ青なの?あら」
「この写真を見てください。レモンを加えると、ほんのりピンクに色づくんですよ」
「あ、ほんとだ!すごいね!」
「お客様の目の前で、これを見せるって言うのはどうでしょうか」
「すごく素敵!」
「では、色の変化を加えた、なにかキャッチコピーを・・・」
「『私のこころは、あなたの気持ちで色づいた』・・・・なんて、どうかな、ははっ」
「いいですよ、それ!」
「思いつきだけどね。ありがと」
「そうだ、私達が加えるのではなく、、お客様同士でレモンを入れて色をつけ合うのはどうでしょう」
「ふふっ、なんだかちょっと恥ずかしいね」
「でも、それを楽しむのが恋人同士ですから」
「ねえ、ためしにわたし達でしてみましょうよ」
「へ?私達で?」
「お客様の気分になってみないと、雰囲気がつかめないもの」
「あ、えっと、その、」
「だめ?」
「だめというか、なんと言いますか・・・・」
「ほんとはね、わたしもしてみたくなっちゃったの」
「芹穂さんがですか?」
「わたしは、さらさちゃんの気持ちに動かされて、このお店のこころに色を付けられたんだと思うの」
「あ・・・・・・・・・・あぅ」
「素敵なきもちをいつもありがとね」
「こ、こちらこそ・・・・・・ありがとうござます」
「変なの。お礼を言うのはわたしの方だよ」

「おい、日乃夏。あたしたちは空気か?」
「だよねぇ。お店の手伝いをしてもらった紅茶が、こんなに甘くなっちゃうとは」
「激甘だな、あたしの好みじゃないし。文句言っていいか?」
「嫌いじゃないくせに。でしょ?」
「ふんっ・・・・さらさは本当、見てて飽きないな」

紅茶屋店長とその従業員の巻き


芹穂さんとさらさちゃん3

「何もないけど、あがって」
「芹穂さんの家はひさしぶりです」
「くたびれちゃったでしょう」
「いいえ、これもお店のためですから。色々なリサーチは必要です」
「ちょっと待って、飲みもの用意するから」
「さて、まずはどのお店の目玉メニューから参考にしようかな・・・」
「あんまりつめすぎないでね。さらさちゃん、夢中になるとすごくがんばっちゃうから」
「そんなことないですよ。好きでやってることですし、全然平気です」
「はい、これを飲んでる間はちょっと休憩」
「これは・・・・ミルクティーですか?」
「うん、この前お友達からカモミールのハーブティーをもらったの」
「いただきます・・・・うーん、これは・・・独特の味ですね」
「やっぱりだめだったかな、ははっ」
「牛乳を除けば、香りがちょうど良くなるような気が」
「今日はだめ!」
「え?」
「あ・・・・今日は、とりあえず、ミルクティーを飲みたかったから・・・」
「はあ、そうですか」

「それでね、このお店はきっとお客さんの入りを考えながら作っていると思うんだ」
「ふうん、そうですねぇ」
「あれ、さらさちゃん。眠くなっちゃったの?」
「うん・・・・・ネムクナイデス」
「ふふっ。そう?」
「お客さまは・・・カミサマデス」
「もう、さらさちゃんたら」
「ちょっと、休んでもいいですか?」
「いいよ。ソファで少し横になってから、お話しましょ」
「すみません」
「はい、これタオルケット」
「んー・・・・」
「ここじゃ落ち着かない?寝室に行く?」
「んーん・・・芹穂さんのそばは、すごくアンシンします・・・・」

「薫ちゃんたら、効きすぎだよ。二人きりだと緊張しちゃうからって言ったら、これくれたけどと」
「んにゃ・・」
「これじゃお話できなないよ」
「芹穂さん・・・・・・」
「でも、いっか。こんなさらさちゃん見られるの、世界中で今はわたしだけだものね」

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